2023年8月18日金曜日

得する人と損する人

政策やルール変更などにおいては、必ず得する人と損する人がいて、絶妙なバランスのうえで決まっていくわけですが、そのバランスが崩れ、不公平感が高まった時に、不祥事や事件に繋がるケースが多いのではないでしょうか。




最近でいえば、ビックモーター事件、さらに規模が大きいものでは新型コロナウィルス関連など、様々な事象において概ね共通していえるのは、

大多数の人々が、(場合によっては、ほとんど気づかないくらい)少しずつ損をして、
ごく少数が、大きく儲けているということ。


株式投資においても同様で、思いつきで、チマチマと間抜けな売買を繰り返す、大多数の個人投資家が少しずつ損をして、AIやビックデータを駆使した、大口投資家がガッツリ儲けています。

それでもこのような事象が、滅多に事件や事故にまでは至らないのは、往々にして、儲けている側の人々は目立つことを嫌がり、表に出てくることがほとんどない。

だから大多数の人々にとっては、
「大した額ではないし、自分1人が損をしているわけではない」
と思い込まされる。


さらにいえば、損益の時系列が複雑バラバラで、エンドレスなゼロサムゲームだからでしょうか。

とりわけ日本人は、損得勘定するなどみっともないという発想からか、曖昧にしたまま見過ごしてしまうことが多いように思えます。

その最たるものが、過去数十年にわたって続く、
日本人の賃金が上がらない
という問題ですよね。

まあさすがに昨今の物価高騰や、深刻な人手不足もあり、今後は少しずつ上がっていくのでしょうが、欧米などとの差は開くばかりです。

では、日本人の賃金が上がらないことで、誰が得をしているのか?

こういうと真っ先に
「日本の物やサービスが安くて高品質なのは、低賃金で真面目に働く日本人のおかげ」
「インバウンドの外国人も喜んでいるじゃないか」
などという人がおります。

それはそれで間違いではないのでしょうが、大多数の企業がBtoB(企業間取引)企業であり、社員も間接工であることからも分かる通り、それでは枝葉だけを見ているに過ぎないことです。

決算書を読んだことがない人でも、売上から、(製造原価や販管費などに含まれる)賃金等々を引いたのが利益になることは、大方想像はつくと思います。

賃金が上がらないということは、配当金など株主還元の原資となる利益が増えることになるので、
一番得をしているのは、株主
ということになります。

ここでもやはり、低賃金+物価安のセットメニューで大多数のサラリーマンが少しずつ損をして、(もちろん長期保有が前提で)ごく少数の株主が大きく得をしています。

だったら
「いつまで経っても給与が上がらない、本当に生活が苦しいよ・・・」
などと嘆く前に、反対側(株主の立場)にも回れば良さそうなものですが、なぜそうしないのか?

流しそうめんの下の方で、
「いつになったら食べれるんだろう?」
などと、指をくわえて待っているようなものでしょうか。

まあ、流しそうめんであれば単純明快でわかりやすいので、
「上の方に移動して取ろうか」
と上り始めるでしょうが、お金の流れとなると少々複雑で、気付けないのかも知れませんね。

だから、もっともっとこういうことを発信することが必要だと思うのです。


よく野党が街頭演説などで、

「日本人の給与が上がらなくて、皆様の生活が苦しくなるばかり!」
などと窮状を訴えて、さも現政権に落ち度があるかのように叫んでいますが、NISAなど貯蓄から投資への移行政策はとうの昔から取り組んでいます。

具体策も示さず、消費税がどうのこうの・・・などと、枝葉にばかりこだわるばかりでは、わざわざ聴衆を集めて、自分たちの無能無策ぶりをさらけ出しているようなものです。

本当に日本国民の生活を案じているのなら、
「皆さん、もっと株を買いましょう!」
とでも、訴えればいいと思います。



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日経平均は今後も上がるのか? はあ?

正直私はあまり関心が無いんですが、先週末に日経平均(225種)が終値3万9098円で史上最高値更新したようですね。